愛でること、批評すること

呪術廻戦における家族と社会像を考えてみる

はじめにー呪術廻戦にはまったオタクが「家族」という切り口で読み解こうとするわけ

 あなたの「呪術廻戦」はどこから?

 私はPixivからです。お察しいただければと思います。

 しかし、このブログでは週刊少年ジャンプの人気作品「呪術廻戦」における家族や血縁関係の描写を取り上げ、そこから浮かび上がる作品中の社会像について考えていきます。

 

 なぜ「家族」なのか。呪術廻戦の導入部について簡単におさらいしながら、ブログを開設するに至った取っ掛かりを説明します。

 

 呪術廻戦の主人公虎杖悠仁は、物心ついた頃には両親が不在で、15歳まで祖父に育てられました。そして、高校1年生の6月、悠仁は祖父を亡くし(病没だと思われます)、ひょんなことから呪術師となり、転入した呪術師の養成学校「呪術高専」で出会った仲間たちとともに呪霊や呪詛師とよばれる敵と戦うことになります。

 主人公は第1話で唯一の肉親と死別し、孤児になってしまいます。15歳の少年がひとりで、祖父の死亡届の記入や埋葬許可証の発行といった一連の手続きを行っているのです。私は一人の成人として、「社会制度どこいったん…」と驚きを禁じ得ませんでした。

 主人公の相棒、伏黒恵もまた機能不全家族に育ち、小学1年生の頃には年子の血の繋がらない姉と二人暮らし。ここでも私は「社会福祉はどこですか…」と唖然としてしまいました。

 

 家族にも、家族という機能を代替すべき社会保障制度にも守られず子供が一人で生きていかざるを得ないという、どう考えても機能不全に陥っている社会において、「呪霊から一般市民を守る」という使命を負わされている–。社会に守られることのなかった子供が、なぜそのクソみたいな社会を構成する一般市民を守るために命をかけて戦っているのか。その動機は何なのか。君たち特別な力を持った呪術師ということになってるけど十分社会的弱者だよ、守ってくれない社会なんてぶっ壊してしまえよ…と普通に一社会人として憤りました。

 キャラクターの造形や関係性などに沸騰していた頭からすーっと熱が引いていき、「とりあえず読み解かないと前には進めねぇな」といてもたってもいられない気持ちになり、「家族」と「血縁」を手掛かりに、そこから浮かび上がってくる作品中の社会像について考察を深めることとし、猛然と原作を読み始めた次第です。寝不足です。

 

 まずは登場人物のプロフィールを整理しながら、その人物の家族に関する台詞を拾いつつ、物語の核心といっていいであろう「血縁」と「イエ制度」、さらに社会像へと考察の対象を広げていきたいと思います。

 現在進行形でストーリーが激動しているところなので、新たな情報が出てくるなどして考察も変わってくることと思いますが、ぼちぼち書き連ねたいです。飽きないように頑張りたいです。

 

 なお、私は表象の分析に関する体系的な訓練を受けていないので、その点ご承知おきください。勉強しながら考えを深めていきたいと思っています。

 本ブログが呪術廻戦のファンダムの健全な発展に微力ながら貢献できることを祈りつつ、沼に浸ります。